ボクの震動、キミの鳴動。




「・・・・・兄ちゃんに教えてもらえば??」





意地悪くニヤける加奈子の妹の隣で、瞬が至って真面目な表情で言った。





瞬ー。 だから、それは無理だろーが。






「だから、瞬の兄ちゃんて世界史の教師なんだろ??」






「弟のオレが言うのも何だけど、兄ちゃんはなかなか頭良いよ」





瞬がそう言うと、青山、サヤ子さん、加奈子の妹が一斉に瞬の兄ちゃんを見つめた。





「違ッッ!! 何言い出してんだ!?? 瞬!!」





3人の視線から逃れようと、瞬の兄ちゃんが身体全体を使って全力で否定のジェスチャーをした。





「ウチって、普通の一般家庭なんですよ。 で、オレが骨肉種になったのが兄ちゃんが大学入ってすぐぐらいで。 兄ちゃん、オレの治療費気にしてさ、勉強頑張ってくれて、4年間成績優秀者だったから学費は入学金と前期の分しか払ってないの」





瞬が苦笑いを浮かべて言えば、瞬の兄ちゃんも同じ表情をした。






「・・・・・・安田・・・・・男前ー」






きっと無意識。 サヤ子さんがポソっと言うと、それが聞こえてしまった青山が1人でザワザワしだした。





落ち着けよ、青山。 









「・・・・・兄ちゃん、ホントはバンド続けたかったのにオレとか親の事考えて教師になって・・・・・でも、オレは病気だし、金も稼げないくせに『バンド続けなよ』とか言えないし」





瞬が苦しそうにそう言うと、青山はざわつきを止めて首をかしげた。






その隣でサヤ子さんの首も青山と同じ方向に傾いていて。






加奈子の妹に至っては『はぁ?!』と声まで出していた。
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