ボクの震動、キミの鳴動。
「ところで、関屋くんはドコから大学に通うの??」
サヤ子さんがオレの話に戻した。
「・・・・・T町。 実家がバリアフリーにリフォームしたらしいので、アパート引き払って戻る予定です」
歩けないオレに、今のアパートで一人暮らしを続けるのは無理だった。
途端、悔しさが湧き出てくる。
「シゴト辞めるなら、実家に帰るのが懸命だね。 家賃かかんないし」
金銭的な問題ではない。 分かってて言ってるのか、オレの足の事など興味がないのか、加奈子の妹が頷きながら言った。
「じゃあ、第一志望はN大だな。 実家から1番近くてバリアフリーもしっかりしてる。 国試合格率も高い」
青山が突然勝手にオレの目指す大学を決めつけだした。
つーか、N大て!! 偏差値高すぎだろうが!!
「さすが、去年3年生受け持ってただけあるね」
オレの焦りなど気にもせずに、『グッジョブ』とばかりにサヤ子さんが青山に笑顔を向けると、青山も嬉しそうに笑った。
・・・・・オマエらのラブラブ加減などどうでもイイわ。
N大なんかどう考えても無理だろうが!!
「トモが兄ちゃんの後輩かぁ・・・・・。 やっぱり国語は兄ちゃんが教えるしかないな」
・・・・・・まじかー。
瞬の兄ちゃんN大かよ。
そんで成績優秀者ってどんだけよ。
「・・・・・・やっぱ、安田って男前」
サヤ子さんって、心の声がポロっと出てしまうタイプなのだろう。
サヤ子さんが余計な事を言うから、またも青山がザワつきだしていた。