幸せの在処
「まさか、お前だったのかよ。てか、傘もささずに何やってたんだよ。」
「いや、ただ座ってたんだよ。そしたら、いきなり傘差し出されてビックリしたんだよな。」
そう言って私を見る相川くんの目は、バカにしたような見方で…。
胸が苦しくなるのを感じた。
「風邪を引くといけないからって、いきなり心配もされたな。」
「まぢかよ!!ウケるな!!」
「奈々美は優しいから。」
「というか、天然だからじゃない?」
周りのみんなが盛大に笑う。
ただおかしいからじゃなく、ただバカにしたように。
ーーガタッ!!
私は勢いよく立ち上がった。
もうこれ以上、ここにいたくない。
「ごめん、帰ります。」
財布から千円札を三枚、テーブルの上に置いて、軽く会釈して足早に店を出た。