幸せの在処
「いいから、早く道を教えろ。」
「嫌です。」
「教えろっ!!」
「嫌ですっ!!」
道の真ん中で、言い争いをする私達。
さすがに通行人に見られるのは、やっぱり恥ずかしかった。
「わかりました…。あの石段がある神社まで送ってください。」
「…あぁ。」
そう言った瞬間、相川くんの声が冷たくなるのを一瞬だけ感じた。
今のは?
歩き出しながら、ふと思った。
もしかして、あの場所が相川くんにとっての思い出の場所なんじゃないかって。
きっとそうだと思った。