幸せの在処
神社に着くまで、沈黙が続いた。
送るって言っといて、何も喋らないなんて。
少し気まずいよ。
そして、神社に着いた。
今は雨はやんでいた。
けど、アスファルトからは雨の匂いがした。
「送ってくれて、ありがとうございました。」
私は相川くんに向かって礼をし、家へと続く道へと歩き出そうとした。
「ねぇ、」
でも、相川くんの声に引きとめられた。
「なんですか?」
相川くんは石段を見つめたまま、言った。
「世界ってさ、何だと思う?」
「???」
突然の不思議な質問。
今まで、そんな質問されたことなかった。
考えた事はあっても、誰かに話した事はない。
「世界は、残酷な場所だと思います。」
私の口から、なんの躊躇いもなく出た言葉。
そう。
世界とは、残酷な場所だ。