幸せの在処



「残酷か…。確かにね、そうかも。」


そう言った相川くんの声は、あの時と同じ、冷たい声だった。


「世界も、この世の中も残酷だな。」


そう呟く相川くんの横顔には、さっきの様な明るい姿はなかった。


そして私は、ただ頷きことしかできなかった。


「…なぁ。」

「なんですか?」


今度はこっちを見ながら、相川くんは言った。


「俺の事は、“のぶ”って呼べよ。それから、敬語もナシな。」

「そんなこと、さっきの話しと全然違いますけど。」

「いきなり約束やぶんな。俺は、奈々美って呼ぶわ。」

「意味がわかりません。」


一体、なんなんだろう。


いきなり、世界とは何か聞いてきたり。


次は変な約束してきて。


理解できない。


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