幸せの在処


私の体は自然と動き、彼を傘の中に入れた。


俯いた顔が、ゆっくりと上がる。


おデコに張り付いた暗めの茶色い髪。


鼻筋が通っていて、目も唇もハッキリとしていた。


思わずドキッとしてしまう程の整った顔立ちだった。


それを真近で見た。


私も彼も、ただ無言でお互いを見つめた。


でも、最初に口を開いたのは彼だった。





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