幸せの在処


私は、のぶの返事を聞く前に歩き出した。


「あ、おいっ!」

「な、なに?」


のぶが引き止める理由はわかってる。


ただ、のぶの返事を聞くのが怖かった。


「お前の家、行っていいのか?」


その言葉を聞いて、ホッとしている私がいた。


そして、少しドキドキして嬉しく思っている自分もいた。


のぶの力になれるんじゃないかと思った。


「だから、いいって言ってるじゃん。」


でも私の口から出る言葉は、やっぱり可愛げがなかった。


< 51 / 106 >

この作品をシェア

pagetop