幸せの在処


「お待たせっ‼」


勢いよく玄関の扉を開ける。


バタバタと走りながら、居間へと入った。


「おかえり…っておい、ずぶ濡れじゃん。」

「あ、まだ雨降ってたから。」


のぶに下着を渡しながら、髪から落ちる雫を見た。


「傘は?」

「傘さしたまま走るのは無理でしょ?」

「ったく…お前なぁ。」


そう言って立ち上がったのぶは、肩にかけていたタオルを私の頭の上にかけた。


< 64 / 106 >

この作品をシェア

pagetop