幸せの在処


なんだか腑に落ちない。


「はいはい、もう帰ってください。」


頭の上の手を払いのけながら、タマを抱っこして玄関へと進む。


「なんだよ。素直じゃねぇな。」



外はまだ雨が降っていて。


昨日貸した折り畳み傘を差し出す。


「あいにく、ほかに傘なくて。赤のチェックよりマシでしょ?」

「あー、濡れて帰るからいいわ。」


はい⁉︎


濡れて帰る?



この人は!


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