幸せの在処
「何の為に服乾かしたと思ってるのよ!今度そんなずぶ濡れになったら、風邪引くから!」
「風邪引いたら、奈々美が看病しにきて。」
はぁ?
「お断りです!ほら、さっさと傘持って!じゃあね!」「ちょっ、おい!」
ーーバタン
半ば強引に傘を持たせて扉を閉めた。
ーードキドキドキドキ
さっきから胸が、心臓がうるさい。
ーー「看病しにきて」
その言葉が頭の中を巡る。
冗談よ。
きっと、冗談。
足下にすり寄って来るタマを抱きかかえ、居間へと戻った。