だってボクらは、生きている。~ギャング・エイジ~(脚本)
マアヤ「はい。ちょうど百六十センチになりました」





チハル「へぇ、おっきくなったねぇ。そういえばマアサは何センチ?」





マアサ「私も百六十センチ」





チハル「あぁ、そうだったんだ。いつも一緒にいるから気付かなかった。アンタもおっきくなったんだねぇ」





マアサM「ウソばっか。このところ、帰ってくるのは深夜十二時近くだった母親が急に休みを一週間もらったからチナツおばさんの家に行くと言い出したのは昨日のことだ。




ここに来るのは年末だけだったのに」





チハル「明日から夏休みでしょ?」





マアサM「私に反論させない空気を出しながら、いい母親を演じようとして演じきれない。そんな母親が私は嫌いだ」





チハル「チナツ。電話で言うの忘れたんだけど浴衣ってあるの?」





チナツ「んー、あるんじゃないかな。私達が昔着たのとか」





チハル「コドモのじゃないよ。私達が着るやつ」





チナツ「え? お祭りで着たいの? だったら生地買ってきて作ろうか? まだ一週間あるからできるよ?」





チハル「作って作ってぇ」






  チハルとチナツが家に入っていく。






マアヤ「マアサも入ろ? 私みたいに日焼けしちゃうよ」





マアサ「うん。そうだね」





マアサM「ほんとうは少し気が引けるのだ。こんな幸せいっぱいの家に私達のような母娘が遊びに来てもいいんだろうか。ずっと、そう思っている。八年前から」







< 8 / 45 >

この作品をシェア

pagetop