君が好きとか、ぜったいないからっ!

お誘い

「ごめんね。あそこだとゆっくり話せそうになかったから。」

そういってつれてこられたのは学校の裏。

あ…。 

「今朝もここであったね。」  
 
白糸くんと2人っきりだっていうのが嬉しくて、ついついにやけてしまう。   

相変わらず白糸くんは格好良くって…

でも、頬に大きな絆創膏が張ってあるのが目立つ。

「大丈夫だった?」

あの後、保健室に連れて行ったはいいけど、始業式が始まるからって白糸くんを置いて先に体育館行っちゃったんだよね。

「うん。」

そう笑う白糸くんは、本当に大丈夫そうだった。

「もうっ。なんで始業式の朝からあんなことになったの?びっくりしたよ~。っいうか、あの黒髪なんなのっ!一方的にあんなことするなんて…!本当に最低。こんどあんな事になったら私が空手でボコボコにしちゃう!」

軽いのりで言ってみた。

空手のポーズなんかもして。

だって、白糸くんに笑ってほしかったから。

なのに…



ずきん。



どうして…?



どうして、そんなつらそうな顔するの…?



私が今朝のこと聞いたから?

恥ずかしいこと掘り返したから?

黒髪の人のこと悪くいったから?


「ご…ごめん。変なこと聞いたね。」


思わず謝る。

ねぇ。そんな顔しないでよ。

「なんで、碧ちゃんがあやまるの?

こっちが怖い思いさせたのに。ごめんね。」

さっきの傷ついた顔が嘘のように笑ってみせる白糸くん。  

でも

「いいよ。笑ってなくて。そんな変な笑い方されると調子くるう。あたしがなんか言っちゃったんだよね?ごめん。」

無理に笑おうとする白糸くんの顔なんて見れない。

私は俯きながらそう言った。

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