わたしは彼を殺した、そして彼に殺される
わたしは、早足で家に急ぐ。

なるべく、人のいる通りを選んでいく。

でも、わたしにはわかる。

彼はいまも、ついてきてる。

学校を出てからも…
ずっと気配を感じていた。

何度も後ろを振り返るが、

彼の姿はない。

死んでるから見えないだけ?

ほんとは…

ずっとわたしを近くで見てるの?

もう一度、振り返ったとき、

「そこじゃないって」

ついに、彼のあの乾いた声がした。
< 31 / 130 >

この作品をシェア

pagetop