わたしは彼を殺した、そして彼に殺される
拾壱
キラリと光るものが宙を舞う。

あれは、彼からもらった最初の指輪。

すーっと窓が開き…

指輪がゆらりと、そこに向かう。

「こんなもん、もういらないよな」

いや、違うっ。

あれはわたしの宝物。
別れたからって、捨てられるわけない。

初めての指輪なのに…

やっぱり、こいつは彼だ。

認めたくないけど、
完全にわたしの性格を見抜いてる。


わたしは、指輪を追いかける。

ベランダから少し離れたところを、
ゆらゆら。

手を伸ばすが届かない。
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