わたしは彼を殺した、そして彼に殺される

休憩時間。

あの人が声をかけてきて、

わたしは屋上に連れていかれた。

二人きり。

でも、ドキドキはしない。

あの人は言った。

「昨日はごめん」

何の謝りだろ?

集中して聞いてなかったからか、
思い出せない。

とりあえず、

「ううん、気にしないで」

わたしが適当に返す。

すると、あの人は真顔で、

「これから大切にしていく、今さらだけど…ちゃん と付き合っていこうね」

そして、こう付け加えた。

「あいつのためにも幸せにさせるから」

ありがとう。

こんなわたしにもったいないセリフ。

でも、
なんて言ったらいいかわからない。

わたしは返事をかえせず…

ただ、コクリと曖昧に頷いた。
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