わたしは彼を殺した、そして彼に殺される

今になって…

あのころの気持ちに気づくなんて。

あなたの家に行く前に、
ここに立ち寄ればよかった。

かもね。

でも、今さら思っても仕方ない。

だって…

あなたはもう戻ってこないんだから。

「その通り、後悔なんか無意味なだけ」

後ろから声がした。

「やっと、決心したみたいだな」

わたしは素直に、うん、と答える。

「でも、もう少しだけここにいさせて。
あなたとの思い出をしっかり焼きつけてから死にたいの…」

「勝手にするがいいさ」

そういい残すと、
彼の声はもうしなかった。
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