わたしは彼を殺した、そして彼に殺される
「あと、少し、あと少しで全てが終わるんだ。早くいけよ」

少しいらついた声がした。

確かに、影のほうから聞こえた。

…わたしの影になってとりついたのか。

それじゃ、逃げれないのも当然だね。

わたしは、自分の立場を理解した。

そして…

納得した。


じゃあ、一緒に死ねるんだね。

ひとりじゃない、

彼と一緒なんだ。

そう思ったら…
怖さが少しずつおさまってきた。

わたしは、顔を上げた。

向こうから…

大型のトラックが走ってきてる。

あれだ、わたしは決めた。
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