わたしは彼を殺した、そして彼に殺される
拾漆
振り返るとそこに彼がいた。

黒くない、前までの彼。

彼は言った。

「お前は、操られてるんだ」

「…操られてるって?」

彼がすまなさそうに、

「おれの邪心がお前をそうさせてた…」
と言って頭を下げる。

邪心って、悪い心だよね?
じゃあ、どっちも彼ってこと?

わたしの頭は混乱。

でも…
この声はいつも聞いてた懐かしい声色。

「正直、おれはあいつから話を聞いて嫉妬したし、お前に対して憎しみを抱いた」
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