月とドーナツ【短編】
不安
その日は朝から嫌な予感がしていた
犬にだって、それくらいは感じる
いや、むしろ犬だからこそ感じるものがある
やけに彼女の顔色が悪かった
いつもの様に顔に粉を叩き、唇を真っ赤に塗っても顔色が冴える事がなかった
けれど、いつもの様に僕を抱き寄せキスをすると、いつも以上に重そうなドアを開け
僕がどうしたって手の届かない、外の世界へと行ってしまった
犬にだって、それくらいは感じる
いや、むしろ犬だからこそ感じるものがある
やけに彼女の顔色が悪かった
いつもの様に顔に粉を叩き、唇を真っ赤に塗っても顔色が冴える事がなかった
けれど、いつもの様に僕を抱き寄せキスをすると、いつも以上に重そうなドアを開け
僕がどうしたって手の届かない、外の世界へと行ってしまった