月とドーナツ【短編】
結局、彼女は『シュジュツ』をするそうだ

難しい事は僕にはさっぱり分からないけど

奴が『大丈夫』というのなら、そうなんだと思う

後、彼女が病院にいる間、僕は奴と生活をすることになった

正直、僕は一日も早く彼女に会いたかった

すると一度だけ

『いいな、コタロー。絶対、声だすな』

と言われてこっそり病院に連れてって貰えた

鞄の中から様子をうかがっていると

やがて、懐かしい彼女の声が響いた

『コタ…』

そっと鞄から頭を出してみると、会いたくて会いたくて仕方の無かった彼女が目の前にいた

再会も束の間

すぐに奴に頭を押し込まれた

病院からの帰り道、奴といつもの公園に来ていた

鞄から僕を出すと、奴はポツリポツリと話し始めた
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