REALWORLD
生徒会の先輩。
または上司。
それ以上でもそれ以下でもない見方で見ている人から、私は何故か奏と呼ばれている。
心底嫌である。
何故なら、私は会長が嫌いだから。
至極シンプルな理由。
「何でしょうか?」
「シャンプー変えた?」
私生活をあなたにばらさなきゃいけない義務とかありませんよね?
無表情、息継ぎも無しで、淀みなく反論した。
「単なる俺個人の好奇心」
そんな好奇心、そのへんの溝に捨ててきてくれると非常に助かるのだが。
私がじとーっと睨んでいると、視線に気づいたのか会長もとい向井先輩はあたしに極上の微笑みを授けた。
普通の女子なら喜びのあまりに倒れるような甘い笑み、しかし私にとってはアンラッキーの象徴のようなもの。
そう思う理由は簡単。
向井先輩が嫌いだからだ。