REALWORLD
「そろそろ新入生入場かな?」
「みたいですね、入口付近で西野先輩が誘導してくださってます」
今日になって、ようやく交わしたまともな会話。
真面目な表情は嫌いではない。
だからずっとそのような真剣な顔付きでいてくれればいいのだが。
「シャンプーじゃなくて、香水変えたの?」
………前言撤回。
やっぱりどんな向井先輩も嫌いだ。
「放送室で準備してきます」
踵を返して、放送室のドアを開けた。
…向井先輩を初めて見たとき、ひどく驚いたのを覚えている。
顔が綺麗だったから。
かっこいいとかそういうのを通り越して、純粋に綺麗だと思った。
非現実的なヒト。
そして性格も非現実的だということを知った。
存在自体が非現実的。
だから、キライ。