狼さまと少女
序章

煌びやかな装束を身に纏う。
豪華な飾りを身につけて、向かうのは山の中。
まだ小さい弟と両親、それと巫女様に深く礼をしてから彼らに背を向けた。


これからどうなるのか、分からない。
今まで山神様の妻になった女性は誰一人と帰って来ていない。
もしかしたら巫女様は知っているのかもしれない。
けれど、色々なことを教えてくれた巫女様が何も言わなかったのは、知る必要がないと判断したからだろう。

振り返ってはいけない。
それでも随分と歩いたから、振り返ったとしても既に彼らは見えない所まで来ている。
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