別の手を選んでも(短編)
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時間って不思議だね。
少しづつ、私の心に変化を与えていくんだ。
忘れるつもりなんてない。
それだけは、本当。
でも・・・
会えない日々が積み重なるにつれて・・・誰よりも大好きだったきみが思い出に変わって行くよ。
ねぇ、二度目の春がめぐってきたよ。
今、私の目の前で薄紅の花びらが、はらはらと散っていった。
風に舞って、夢のように綺麗だよ。
あの、桜の広場も満開になったかな?
それともここよりも、満開になるのが遅い?
わたしと、きみをはっきりと隔てている距離。
時間さえももう遠くて、あの頃よりも大人になっているはずの、きみの姿を想像することすらできないよ。