別の手を選んでも(短編)
 初めて、陸の気持ちを知ったのは、中学校の卒業式の日だった。



 たった一年しか通わなかったけど、たくさんの思い出が出来た。

 親友とも言える友達も出来たし、楽しいこといっぱいあった。

 つらいこともなかったといえばうそになるけど、陸がいつもそばにいてく助けてくれたから、乗り越えることが出来た。



 私はとても幸せなのかも、しれない。

 ううん、幸せなんだ。



「芽生!」



 気がつくと、陸が傍らに立っていた。

 さっきまで同級生や後輩に囲まれて、写真を撮られていた陸の腕にはたくさんの花束。



 陸は人気がある。

 顔も、遼のきれいで整った顔に見慣れていた私は、最初意識しなかったけど、かなり整っている。

 背はかなり高くて、バスケット部の主将を引退するまでしていたんだ。

 金色がかった茶色の髪は地毛で、別に染めているわけじゃないと、後から知った。

 切れ長の瞳は、少し紺色をしている。


 
「これ、あげるよ」



 いいながら、どっさりと抱えていた花束の山を、私にくれた。

 ぶわっと、花の香りが漂う。それに、かなりの量で重い。

 
 
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