別の手を選んでも(短編)
「これ、陸がもらったんでしょ。駄目だよ。ちゃんと、家に持って帰らないと」

「気持ちはしっかりもらったからいい。

 それに、花も、芽生にもらってもらったほうがうれしいだろ?」

「そんなこと」

「じゃ、はんぶんこね」



 陸は花束を私から半分だけ、取り戻した。

 三年から転校してきて、部活に入らなかったから、見送ってくれる後輩のいない私に気をつかってくれたのかな?

 

「ありがとう」



 言葉が自然に口からこぼれだしていた。



「陸がいてくれたから、毎日がとっても楽しかったよ。

 たくさん、たくさん、助けてくれて・・・ありがとう」

「なに、あらたまっていってんだよ」



 陸が笑って、私の頭に手を伸ばした。

 くしゃくしゃって、髪をかき混ぜた。




 
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