別の手を選んでも(短編)
「いくらでも甘えていいよ。
ていうか・・・もっともっと、おれに頼ってもいいから。
泣き虫のくせに・・・強がらなくていいよ」
「陸・・・」
周囲のざわめきも、なにもきこえない。
ただ、陸の言葉だけが耳に届く。
「おれは芽生が好きだよ。
初めて会ったときに一目ぼれしたんだと思う。
芽生のこと知っていくたびに、もっともっと好きになった。
離れたくない。
一緒にいたいから、おまえと同じ高校選んだんだ。
おまえって頼りなげに見えるから、いつもそばにいて、おれが守ってやりたいんだ」
真っ直ぐで、強い気持ちをぶつけられて、私の心が揺れた。
陸・・・陸のそばにいるのはとても心地よくて安心できる。
でも・・・
私はくせになっているように、胸元に手をやった。
その日もつけていたペンダント。
遼と私をつなぐ、最後のもの。