別の手を選んでも(短編)
  
 あれから二年がすぎた。

 この春、私、高二だよ。

 きみも、だね。



 今日は入学式だったんだ。

 ほんとは休みだったんだけど、手伝いに学校にきたの。

 そして、手にはまた変えた携帯。あれから二台目だ。もう何人か、新しくアドレス交換したよ。

 でも、きみのアドレスはない。

 初めて携帯を買い替え、番号とアドレスがかわった時、きみに伝えることをためらってしまったのはなぜだろう?



 いつの間にか、つながっていた糸は、ぷつんと切れてしまった。



 私から、その糸を切ったんだね。



 二年は、きみと過ごした日々よりとてもとても短い歳月なのに、私にとってはたくさんいろいろなことがあった日々だった。



 新しい場所、人間関係、戸惑うばかりで、不安定で弱くて、そこになじむことで一生懸命だったんだ。



 きみはなにかあったら、いつでもメール、電話してっていっていたのに、私はだんだんとしなくなった。



 そばにいて差し出してくる手にだんだんと、すがるようになったんだ。

 弱虫な私。強くなれなかった私。会えない日々に負けた私。



 そんな私を、きみは今、どう思っているかな?



 知りたい。

 でも・・・。

 


 


 



 


 

 
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