別の手を選んでも(短編)
遼。・・・いつもいつもそばにいて、日々をすごしてきた。
きみは、もう・・・とても、とても・・・遠い。
心の中に、好きと言う気持ちは変わらずにそこにあって・・・。
初恋のきらきらした輝きは、宝石のようで、強く傷つくことなくそこにあるんだ。
もう、思いは叶わないってわかっていても・・・遼のこと、忘れられない。
本当に、好きだったから。
・・・好きだったんだ。
「わかってる」
陸が息をはいた。
ぽんぽんと、子供にするように優しく私の頭をたたいた。
「時々、芽生が・・・なんとなくだけど、おれをみてなくて、違う誰かをみているような気がしたことはあるんだ。
前の学校で好きだった奴とか? まだ、忘れられない?」
うなずくことも、否定することも私は出来ない。
ただ、目の奥が熱かった。
涙がこぼれそうだった。