別の手を選んでも(短編)
 
 遼。・・・いつもいつもそばにいて、日々をすごしてきた。

 きみは、もう・・・とても、とても・・・遠い。



 心の中に、好きと言う気持ちは変わらずにそこにあって・・・。

 初恋のきらきらした輝きは、宝石のようで、強く傷つくことなくそこにあるんだ。



 もう、思いは叶わないってわかっていても・・・遼のこと、忘れられない。

 本当に、好きだったから。

 ・・・好きだったんだ。



「わかってる」



 陸が息をはいた。

 ぽんぽんと、子供にするように優しく私の頭をたたいた。



「時々、芽生が・・・なんとなくだけど、おれをみてなくて、違う誰かをみているような気がしたことはあるんだ。

 前の学校で好きだった奴とか? まだ、忘れられない?」



 うなずくことも、否定することも私は出来ない。

 ただ、目の奥が熱かった。

 涙がこぼれそうだった。


 

 
< 20 / 33 >

この作品をシェア

pagetop