別の手を選んでも(短編)
 


 今、陸の告白を聞いて、私は・・・。



 自然と胸元に行きかけた手を止めた。

 そして、その手を陸に差し出す。



 強い風に、桜の花びらが舞った。



「陸、待っていてくれてありがとう。

 私も、陸のことが好きだよ。---きゃ」



 強い力に引き寄せられて、気がつくと、陸の腕の中にいた。

 ぎゅっと抱きしめられる。



「芽生、ありがとう。おれを選んでくれて」



 耳元で聞こえた陸の声。

 あたたかい温もり。



 私が選んだ場所はここでいいんだよね?

 間違っていないよね。



 なぜだか、そう思った。

 でも、すぐに否定する。



 間違ってない。



 
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