別の手を選んでも(短編)
もう、会えない遼のことは・・・
綺麗にきらきらと輝いている思い出にかえるの。
あの頃の、日々は・・・。
別の誰かを好きになっても、違う手を選んでも、消せないから。
あの日々は、心の奥底に、宝石のようにまばゆく輝き続ける。
いつまでも、心の奥底で。
忘れることなんてできないんだ。
大切な思い出だから。
奥底で、宝物のように眠らせるの。
家に帰ってから、ずっと、ずっと・・・つけていたペンダントをはずした。
四葉のクローバーのペンダントヘッド。
クローバーの花言葉は、約束。私を思い出して。
私は、ペンダントをそっと、机の引き出しの奥にしまった。
胸元がみょうにさみしくて、なにかを無くしてしまったかのような気がする。
閉じた引き出しを押さえたままの私の手の甲に、一滴だけ、涙が零れ落ちた。
この涙の意味を、私は知らない。