別の手を選んでも(短編)
「ありがとう、遼」


 おれは母さんの後ろから、もうすぐ出て行く、住み慣れた社宅の古い階段をのぼった。



 もうすぐ、会える。

 あれから、一年。おれは高校生になった。

 芽生はどうしているだろう?

 おれのことはわすれたかな?

 それでもいいよ。



 ただ、会いたいだけだ。

 芽生がかわらずに笑っていてくれればそれでいい。



 おれは今も変わらず、芽生のことが好きだけど・・・おれを忘れて、だれかほかの奴を好きになっていてもいいよ。



 苦しいけれど、泣いているよりはよっぽどいいよ。



 おれは届かなかった葉書を制服のポケットに入れた。









 もうすぐ、きみに会えるはず・・・。

 




                    終わり
 
 
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