別の手を選んでも(短編)
「おれは芽生が好きだ。

 中三のとき、初めて、おまえに会ったときからずっと、好きだ。

 ・・・一度、告白してそれからあきらめようかと思ったこともあったけど、やっぱできない」

「・・・陸」



 陸の視線を受け止めたまま、私は何をいえばいいのかわからなくなる。

 でも、確かに心臓は苦しいほど震えて、そして、熱かった。

 

 ずっと・・・ずっと、好きだったのは・・・小さな頃から好きだったのは、生まれたときからの幼なじみの遼で・・・。

 この気持ちは、永遠に変わらないって、あの別れの日、確かにそう思っていた。

 

 でも・・・私の気持ちは苦しいほどに揺れている。



 もう二年会ってないね。もう、記憶は・・・思い出になりつつあるのかな?



「芽生が好きだ」



 いって差し出された、大きな手。

 このあたたかい手に、私は何度救われただろう。



 さみしくて、さみしくて、苦しくてつらかったときに・・・。


 
 私は、どうしたらいいだろう?



 もう会えないかもしれない遼。

 いつもそばにいてくれる陸。



 どうしたら、いいの?

 
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