別の手を選んでも(短編)
2
新しい中学校。
新しいクラス。四月とはいえ、三年の転入生は私だけだった。
まだ身体になじまないおろしたての制服。
緊張のせいか、動きまでぎこちなくなってしまう気がする。
担任の北山先生の後ろから教室に入っていきながら、自分の手足がちゃんと動いているのか自信がなかった。
転校なんて生まれて初めてで、いつも受け入れる側だったから、それがこんなにも緊張して、怖いように思えるものだなんて思いもしなかった。
ちゃんと、受け入れてもらえるか、不安だった。
新しい友達・・・ちゃんと、できるかな?
ざわめいていた教室中が急に静かになる。
視線をいっぱい、感じる。
教卓の横、うつむき加減に、立ってしまう。
顔をあげたほうがいいのかもしれない。でも、どんな顔をすればいいか、わからない。
「はい、座りなさい。今日は三年の新しいクラスの始まりだ。一年間よろしくな。
それから転校生もこのクラスにはいるぞ。
仲良くしてやってくれ。
えっと、山本、挨拶してくれ」
「は、はい」
うわずって、震える声。
くすっと笑う声が聞こえた気がする。
気にしちゃ駄目、自分に言い聞かせた。
新しいクラス。四月とはいえ、三年の転入生は私だけだった。
まだ身体になじまないおろしたての制服。
緊張のせいか、動きまでぎこちなくなってしまう気がする。
担任の北山先生の後ろから教室に入っていきながら、自分の手足がちゃんと動いているのか自信がなかった。
転校なんて生まれて初めてで、いつも受け入れる側だったから、それがこんなにも緊張して、怖いように思えるものだなんて思いもしなかった。
ちゃんと、受け入れてもらえるか、不安だった。
新しい友達・・・ちゃんと、できるかな?
ざわめいていた教室中が急に静かになる。
視線をいっぱい、感じる。
教卓の横、うつむき加減に、立ってしまう。
顔をあげたほうがいいのかもしれない。でも、どんな顔をすればいいか、わからない。
「はい、座りなさい。今日は三年の新しいクラスの始まりだ。一年間よろしくな。
それから転校生もこのクラスにはいるぞ。
仲良くしてやってくれ。
えっと、山本、挨拶してくれ」
「は、はい」
うわずって、震える声。
くすっと笑う声が聞こえた気がする。
気にしちゃ駄目、自分に言い聞かせた。