別の手を選んでも(短編)
「ちゃっちゃと、委員とか、班もきめてしまうぞ。

 席はなれていいから、話し合え」



 担任の声にしたがって、みんな、席を立ち始めた。



 そ、そんないきなり。

 私、どうしたらいいの? 



 もうすでにグループができているところもある。



 入りづらい。

 声をかけづらい。

 あたりを見回して、席に座ったまま、動くことが出来ない。



 ・・・前の学校じゃ、クラス替えとかあっても、こんなことなかったのに。

 必ず、何人かは知っている友達がいたから・・・こんな心細い気持ちになることなんてなかったのに。
 
 一人。泣きたいほど、一人だって、このときは思ったんだ。



 かたんと、音がして、私は顔をあげた。



「?」

「山本さんだっけ? さっき、めちゃくちゃ緊張してただろ?」


 
 いいながら、私の前の席に座った男の子。

 座っているけど、背が高い。長い足をもてあますように、通路に投げ出している。

 少し茶色がかった髪は、染めてるのかな?

 窓から射す、太陽の光に、きらきらとまぶしいよ。

 

 
< 7 / 33 >

この作品をシェア

pagetop