別の手を選んでも(短編)
 どれだけ・・・はなれたくないと思ったとしても・・・。


 私たちは子供で、親の言うことに従うしかなかった。



 でも・・・がんばるってきめたんだ。



 気がつくと胸元に手を伸ばしていた。

 勇気付けるように、ぎゅっとこぶしを握る。

 ブラウスの下、つけているのは、遼がくれた四葉のクローバーのペンダント。

 私の、大切な宝物。



「山本さん?」



 いぶかしげな声に、我に返る。

 


「ご、ごめんなさい。ぼ~っとしてた」



 顔が赤くなる。

 

「ひどいなぁ。話してる途中に、別の世界にいっちゃわないでよね。

 でさ」

「え?」



 陸が黒板のほうを指差した。

 黒板には委員名と名前がもういくつか書き出されていた。

 もう、ずいぶん決まってる。



 ・・・私、なにかならなくてもいいのかな? よくわからない。



 黒板に書き込まれた字を目で追っていっていたら、陸がいった。






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