ふーりっしゅ!
目に眩しくない、鮮やかな金髪。
ばさばさ睫毛に縁取られた切れ長の目。
薄い唇と、すっとした鼻。
野生的なのにどこかすっきりした、まるで人形のように端整な顔。ピアスがきらりと光った。
そこに浮かぶ、物憂げな表情が
誰が見ても一番に目がいく理知的な瞳が
どきん。
小さく胸が疼く。
皆の言うカッコいいとか、そういうんじゃなくて。
綺麗ってわけでもない。
でも、たった一つしか違わない人には見えないくらい、大人っぽい妖艶な雰囲気に呑まれる。
吸い込まれるみたいに、その焦茶の瞳に惹きつけられる。
話しかけちゃいけないような。
話しかけなきゃ、消えちゃいそうな。
「真白?」
はっとする。
右京先輩の、理知的な瞳がこちらを向いていた。
あたしは、どう見えてる?
戸惑ってるように見える?
ちゃんと笑えてる?
「は、い」
「鍵閉めるから、お前先帰っちゃって。明日は活動ないから」
「……りょーかいです」
「あと、」
先輩は小さく伸びをしながらあたしの宿題を指差す。
「そこの計算、間違ってる」
「う"っ」
右京先輩はほんのり笑った。
その破壊力にぐっと言葉に詰まる。
これがギャップ萌えってやつですか!?
金髪でピアスまでしてる不良なくせに、
そうやって優しく笑っちゃって。
「じゃ、今日はこれで終わり。お疲れっした」
「おつかれさまでしたあ」
その笑った顔がカッコいいんだけども。
あたしも負けじと笑って見せた。
すると、右京先輩はちょっと不思議そうな顔をして、また少しだけ微笑むと鍵を手に取った。
終わりの合図。
あたしも立ち上がる。
いつも通りの毎日。
きっと明日も明後日も変わらない。
……それでいいもん。
--PrPr(ぷるぷる)--
先輩と後輩の、そんな毎日