楓 ―KAEDE―
「――ハルカぁ?遥っ!?」
慌てた俺の声が、
楓を見上げる幼なじみに届く。
「……ウルサいなぁ。なぁに?晃ちゃん!!人がせっかく悩み事してる時に…」
ヒラヒラ、
ヒラヒラ…。
赤い楓の葉っぱが降る。
その下で、遥は俺に呆れ顔。
「悩み事!?この大変な時に!?」
「あら、こっちだって大変よ?…名前、考えてたんだもん」
「…そりゃ、大変だけども」
俺たちに、
「妹」が出来る。
正確には、
このお隣の幼なじみの妹になる訳なんだけども、
もう家族みたいなもんだから、
俺たちにとっちゃ、
どっちだって同じだ。
『仲良くしてね』
そう言ったおばちゃんは、
俺たち2人を、
「名付け親」に任命した。
大事なのに。
大事、だから?