楓 ―KAEDE―


あれれ、
迷子になっちゃった?


俺様、
ちょっぴり泣きべそ。


でも大丈夫。
俺様、強い子だから。

泣かない。
泣かない。


すぐにお空に顔をあげて、


「――じぃちゃーん!」

って呼んでみた。

じぃちゃんはね、
この森のじぃちゃん。


迷いの森の番人。
この森で、
いっちばん大きな樹なんだよ。


ザァザァ~…

1つ大きな風が吹くと、
周りの樹の葉っぱが一斉にざわめいた。


『……また遊ぶのに夢中で迷子かのぅ?困った子じゃ…』

誰の声?

この声は、
森のじぃちゃんの声。


< 3 / 31 >

この作品をシェア

pagetop