楓 ―KAEDE―
2・犬竜とカエデの木
2・犬竜とカエデの木
黄色い葉っぱの木は、
俺様はじめて見たんだ。
広い森の中に、
たっくさんの樹はあって、
みーんなが緑色の光を放つんだけど…、
「……黄色いのね?」
俺様、
またまた首を傾げてみた。
森のじぃちゃんの声が、
風に運ばれてやって来る。
『外の森からやって来た、カエデという木じゃよ…』
「カエデ?」
『女の子じゃ…。話し掛けてご覧…?きっと笑って光を降らせてくれるよ?』
森の樹はね、
じぃちゃんみたいにお話出来る樹と、そうじゃない樹がある。
この樹はまだ小さな樹だから、
俺様とお話は出来ないみたい。
でも、
俺様の言葉は分かるみたいよ?