最高の笑顔を【短編】
「翔の友達?」

「はい。あきといいます。あの…翔クンは…?」

「………。こっちよ。」

「……はい。」




―…ドクン……




「翔はね…。頭を強く打ってしまって…ね。……ずっ…と…寝たままなのよ……。」

「……え?」

「生きてはいるけど……いつ目がさめるかもわからない。もしかしたら一生起きないかもしれないの……。」

―……ドクン……ドクン……

心臓の音がはやくなる。


壊れてしまいそう…。

「……イヤダヨ。……ねぇ!翔……。起きてよ!!あたしまだあんたに言わないといけないことがたくさんあるんだよ!ねぇ!はやく起きて!起きて…。起きろよ…翔!」

「あきちゃん。」

「ウ…。イヤダョ。翔…。まだあたしの気持ち伝えてない…。翔…。」

「あきちゃん。落ち着いて…ね?」

「嫌…。嫌…。いやぁ!!翔!!ねぇ翔…。」



翔に抱き付いてそのまま泣き続けた。


まだ、

温かいよ。


翔はここにいる。


ここにいる…。


でもこれは誰?


あたしの知ってる翔じゃない。


これは翔じゃない。


こんなの翔じゃない…。



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