赤い糸のその先は…。

私と王子様が二人だけの世界にひたって遊んでいると、


突然会場からいなくなった私を、お兄ちゃん達が探しに来てくれた。


そんな心配なんかお構いなしに、



「お兄ちゃん、紹介するね。ゆずの王子様だよ。」



「「......。」」



あれ?無邪気に紹介する私に、みんながダンマリしちゃった。





帰り際、王子様と離れたくなくて、


「いやだぁ! ゆずは王子様と結婚するんだから、離れちゃダメなのぉぉお!」


泣いて騒いで大暴れした。


王子様は目線が合うように屈み込んでくれて、


優しく頭をクシャリと撫ぜながら言ってくれた。



「お姫様。二十歳になったら迎えに行くよ。

それまでに素敵な女の子になっていてね。」


それから、二人で指切りをして、


私の方から「待ってるからね。」って王子様の頬にチュウをした。
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