赤い糸のその先は…。

「俺も今日は残業をしないで帰るから、送っていくよ。」


そういった俺に何度も大丈夫だという彼女。


だけど、心配だ。


定時刻になると、早速彼女のカバンを持って「帰るぞ。」って声を掛けた。



家に帰る前に『リーフ』に寄りたいと言うので、


店に灯りがついていたから、近くに車を止めて一緒に裕也さんの所まで行った。


でも、『リーフ』に連れて行ったのが失敗だったと、すぐに後悔した。


入口で立ち止まっている彼女の目線を追うと、


その先にはキスをしていた二人がいた。


しまった。彼女に姉貴と裕也さんが付き合っているのがバレてしまった。


無言で動けないでいるところを見ると、相当傷ついたに違いない。


咄嗟に、彼女の目を両手で覆った。


俺は裕也さんに『ゆずを借りていきますね。』って断わりを入れて、


彼女を店から連れ出した。
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