赤い糸のその先は…。
「まだ、裕也さんの事が好きか?」
抱きしめられながら耳元で囁かられた。
そっか、課長は私が失恋しちゃったって思い込んでいるんだっけ。
どう説明したらいいんだろう。
「えっとですねぇ。お兄ちゃんはずっと私を大切に育ててくれたので、
幸せになって欲しいです。室長も大好きですし...。」
「でも、好きなんだろ?」
正直に話すべき? 怒らないでね、課長。
「あれはですねぇ...男の人と気まずくなったら『お兄ちゃんの事が好き』って
言うようにしなさいって...お兄ちゃんに言われてて...。」
「はぁぁああ?」
やっぱり、怒っちゃった?
私の首元に顔を埋めていた課長が、私の顔を正面から凝視してきて、
フーッてため息をついた。