赤い糸のその先は…。

ユキちゃんsaido






「ひゃぁ、いつの間に課長が来てたんだろう。」


「ふふっ、課長には社員食堂って似合わないわね。」


「あの人の笑うとこなんて見た事がないし、


一緒に仕事をしているゆずには同情するわ。」


「あら、近くで見ると綺麗な顔立ちをしているし、

ヘラヘラ笑っているよりも、凛々しくて王子様みたいよ。」


「麻美ちゃんったら、あんなのがタイプだったの?」


「違うわよぉ。ただね、同じフロアにいると見ちゃうのよ。ふふっ。」


「なっ、なにを?」


「あの、鉄仮面が剥がれるとこ。」


「どーゆー事?」


「たまにね、ゆずちゃんを見る目が優しくなるっていうかぁ、

表情がほっこり和らぐのよ。」


「えっ?」


「ふふっ、だから、ゆずちゃんの王子様は課長だったりしてね。」


「だっ、ダメだよ!私のゆずが、あんな獰猛そうな野獣に食われるなんてっ!」
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