赤い糸のその先は…。
勝手な思惑

「なぁ、今晩泊まっていくだろ?」


「あっ...あれは、冗談だったんじゃぁ...。」


「健さんの言った事か? 俺は本気にしたけどな。」


マジですか。 でも、恋人同士じゃあないわけだし...。


ここで泊ってしまったら、バージンを捧げると思われてしまうよね?


「行くぞ。」


黙って、考えていたら、急に手を引かれた。


ちょ、ちょっと待ってよぉ。


勢いに流されないように、ちゃんと断らなきゃ。


「どうした?」


「あ...あのですね。私たちは付き合っている男女の仲ではないので...


お泊りというのは世間様にあらぬ誤解が...。」


「あらぬ誤解って、お前...。」


ねっ、課長もそういうのイヤでしょ?


上目使いで課長を見上げたら、クククッっと笑ってた。


「おれは、誤解されたほうが都合いいけど?


うぅぅ、涼しげに見下ろしてくる課長が、いつものイジワル上司に見えてきた。
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