赤い糸のその先は…。
突然の異動
入社式の後片付けが終わってから、
ユキちゃんと一緒に業務部秘書課のフロアに戻ってくると、
室長から声をかけられた。
室長はお兄ちゃんの同級生だったらしく、入社してからというもの、
何かと面倒をみてくれる姉御肌のお方だ。
「ゆず、悪いんだけど、あなた、今日から企画部に異動になったから。」
「「へっ?」」今度は間の抜けた声がユキちゃんと重なった。
「えーっ!! なんで、ゆずが異動なの? あんた、悪い事でもしたの?」
そんなめっそうもございませんよ。 身に覚えもございませんっ!
それにしても、なんで? 人事異動は、ある日突然やってくるものなの?
そりゃあ、今日から新年度の異動があるって知ってるけど、
普通は、事前に告知があるんじゃないの?
私はユキちゃんに、フルフルと頭を横に振って怯えた顔をした。