赤い糸のその先は…。


「うわぁ!すごいぃ」


その日、私は家族と一緒にお城みたいなお屋敷にやって来た。


正装した大人達や、ドレスを着た自分、


おまけに大きなお屋敷を目の前にしてい


るのだから、幼い私が絵本の物語の中に入り込んでしまったと、


錯覚してもおかしくはなかった。


何かのお祝いだろうか、庭園では立食パーティーが行われ、


その隅では音楽を奏でている人達がいる。


親しい人たちに挨拶にまわっている両親に連れられていた私は、


『まぁ、可愛らしい。』『お人形さんみたいね。』と


大人達から口々に言わわれ、幼いながら愛想笑いをしていた。


大きな大人達に囲まれて迷子にならないよう、


両親から離れないようにと必死について歩いていたから、


幼い私はクタクタになっていて…。



「なんだか、疲れちゃったな」





< 2 / 238 >

この作品をシェア

pagetop