赤い糸のその先は…。
「うわぁ!すごいぃ」
その日、私は家族と一緒にお城みたいなお屋敷にやって来た。
正装した大人達や、ドレスを着た自分、
おまけに大きなお屋敷を目の前にしてい
るのだから、幼い私が絵本の物語の中に入り込んでしまったと、
錯覚してもおかしくはなかった。
何かのお祝いだろうか、庭園では立食パーティーが行われ、
その隅では音楽を奏でている人達がいる。
親しい人たちに挨拶にまわっている両親に連れられていた私は、
『まぁ、可愛らしい。』『お人形さんみたいね。』と
大人達から口々に言わわれ、幼いながら愛想笑いをしていた。
大きな大人達に囲まれて迷子にならないよう、
両親から離れないようにと必死について歩いていたから、
幼い私はクタクタになっていて…。
「なんだか、疲れちゃったな」