赤い糸のその先は…。


「ゆーずーちゃーん。 今日も可愛いね。」 でたっ! ナンパ男っ。


「そりゃ、どうも。」


投げ飛ばして以来、妙に私の周りをうろつく営業課の一条直樹。


こう毎日冷やかしに来られると、ノイローゼになりそうだ。


「だーかーらー ランチに行こうよ。」


その『だから』という使い方は間違ってるよ。何に対しての『だから』なのさ。


「いかない。」


「そういうツンな所が、僕のMな部分を刺激してくれちゃうんだよねぇ。」


ウザすぎる...、コイツ...。


はぁ、もう、何も言う気にもなれないでいると...


...課長が戻ってきた。


「一条、仕事の邪魔だ。 遊んでないで仕事しろ。」


「課長ぉ、もうお昼ですよ? 

ゆずちゃんにも、ちゃんとご飯を食べさせないと。」


「大丈夫だ。心配しなくても俺がちゃんと『あーん』して食べさせるから。」


二人して、食べさせるって...私は、お子ちゃまじゃないですよっ!


でも、なんか無表情の課長の『あーん』を想像してたら、


可笑しくなっちゃって、吹き出すのを堪えるのに必死だった。


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